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アルバム

発売日:2004/8/18
販売元:エム アンド アイ カンパニー
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初めてのセルフ・セレクション・アルバム。

1. 月詠み間(ちちゆみま)
2. 沖縄ミ・アモール
3. 悲しくてやりきれない
4. 私のハートはストップモーション
5. 恋島(くいじま)
6. 恋の花
7. 月下美人
8. 時は過ぎるから
9. 御縁花(ぐいんばな)
10. 会いたいな
11. 風に風になりました
12. 童神

【 ライナーノーツ 】
【 桑江知子本人による解説&試聴 】

気がついてみたら、なんと13年ぶりのアルバム製作でした。
思いのほか話をいただいてアッという間に仕上がったという感じでしたが、それだけ表現したいものがたまっていたのかもしれませんね。
笹子重治さんの奏でるギター、包み込むようなサウンドは私を優しい気持ちで唄に向かわせてくれ、そしてそれは今まで唄い続けてきてホントによかったと、しみじみ思えるステキな瞬間でした。
笹子さんを始め、参加してくれたミュージシャン、アルベルト城間さん・平安隆さん・古謝美佐子さん…このアルバムに関わってくれた方、全ての方に感謝です。

『私のハートはストップモーション』でデビューしてから25年になりますが、今の私が、『あいたい人』に贈る12の唄。
どうかあなたの心に届きますように…。
ー桑江知子

ライナーノーツ

音楽評論家 青木誠    

桑江さんとは3年前、NHKのぼくのラジオ番組の公開ライブにきていただいたときが初対面だった。ヒット曲「私のハートはストップモーション」は1979年だったが、よく憶えている。
あの頃は化粧品のCMソング大流行で、これもその一つ、レコード大賞最優秀新人賞まで受賞した19歳の歌手のデビュー曲である。けれどぼくは桑江さんが沖縄生まれとは知らなかった。
そのあとこんどはぼくが桑江さんのFM番組に呼ばれたり、あちこちの沖縄コンサートの会場でお会いして気づいたが、桑江さんはその頃から方向転換されたようなのだ。
三線(沖縄三味線)と民謡をあらためて習い、琉球民謡コンクールの新人賞も受賞された。
沖縄音楽家と交流を深め、沖縄でライブされるようにもなった。桑江さんは歌に〃根〃を与えつつあるとぼくは感じていた。
歌には〃うたわされている〃歌と、〃うたう〃歌がある。
ポップスのおおかたの歌は〃うたわされている〃歌なのだがごくわずかに強い個性と根をもった歌手が〃うたう〃歌をうたっている。
心の表明として〃うたう〃歌手がいる。このアルバムでそれが聞ける。
最初の歌「月詠み間」を聞くと、ぼくの心はたちまち懐かしい、ひろびろした世界で遊びはじまる。沖縄にいったときの感覚そのものである。つぎの「沖縄ミ・アモール」はディアマンテスのヒット曲でここでもアルベルト君とデュエットするが、原曲とは違って一段とゆったりしたテンポである。
つぎの「悲しくてやりきれない」もおなじ。冒頭のこの3曲のゆったりした気分、これこそ桑江さんがルーツの沖縄を思い、なんとしても表現したかった心の世界だろう。
このアルバムには「私のハ-トはストップモーション」もあるがご本人のオリジナルと違い、やわらかく、やさしくうたわれる。また全11曲の2曲、「恋の花」と「御縁花」は沖縄民謡の名曲で、本来なら三線だけでうたう歌だが、桑江さんはギターを添え、洋楽風のアレンジで原曲とまるで違う新鮮な世界をつくりだしている。沖縄といいつつ、カチャーシの空騒ぎや、三線を前面にだすわけではない。
そのかわりにどの歌にも沖縄の心をこめた。
このアルバムで桑江さんはまったく新しい自身のスタイルを確立した。
(青木誠)

大須賀猛    

近年、桑江知子は、古謝美佐子(「童神」でデュエット)のステージにゲスト出演することが多い。
というか、観客席にいるところをいつも美佐子に引っ張り上げられるわけだが。
70年代後半から80年代初頭のアイドル・ファンにとって「私のハートはストップモーション」は忘れられない曲だ。
桑江は、79年にこの曲で日本レコード大賞新人賞も受賞しているが、同世代の山口百恵や榊原郁恵、石川ひとみらとは全く違う道を選んだ。ラテン音楽や郷里・沖縄の音楽を学びつつ、自分の歌を模索し続けた。
芸能人でいることよりも、歌に淫することのほうが幸福だったということだろう。
そんな道行きのひとつの成果が本作だ。
軽快なボサノヴァに変貌した同曲をはじめ、全編で笹子重治がギター&アレンジを担う。ディアマンテスの「沖縄ミ・アモール」、沖縄民謡の「恋の花」、普久原恒勇作の「御縁花(ぐいんばな)」、岡本おさみ作詞・平安隆作曲の「会いたいな」等カバー7曲+オリジナル5曲。なかでも自ら作曲したバラード「風に風になりました」は長く聞き継がれるであろう名曲だ。
M&I MYCD-35012 「ラティーナ」誌9月号掲載 8/20発売
(大須賀猛)

作詞家 木下詩野    

桑江知子さんとの出会いは、数年前の「月下美人」という曲の作詞をさせていただいた事から始まりました。
実は「月下美人」という曲は、しぱらくずっとお蔵入りされていた曲でした。
もはやこの世に誕生することはないのだろうと思っていた矢先、風の噂で桑江知子さんがこの曲を見つけ、ご自分のライブで歌い継いで下さっていると聞き、私は嬉しい気持ちでいつぱいになりました。
その後、桑江さんが「月下美人」をリリースする事になり、改めて「月下美人」の作詞をして良かったと心から思いました。
この「月下美人」がこの世に産声をあげる事が出来たのも、桑江知子さんがこの唄を心から愛し、唄い続けてくれたおかげだと思っています。
そしてこの唄に思いを馳せた桑江さんの生まれ故郷が沖縄だったという事にも頷けました。
桑江さんには沖縄の風を感じさせる唄がよく似合うのです。

あれから数年。
桑江さんからの依頼を受け、二人で共作をすることになり、また再び桑江さんに作詞をする機会をいただきました。
桑江さんの沖縄に馳せる想いを忠実に聞きながら、今回の作品「風に風になりました」を作詞し、桑江さんご本人が心を込めて作曲して下さり、初めて完成された音源を聴いた時、その曲のこぼれるような美しさに涙をこぼしました。
改めて桑江さんの沖縄への深い郷愁や想いを感じ取り、このアルバムが桑江さんにとって新たな始まりであることを予感せずにはいられませんでした。
「月詠み間」は、ただ聴くだけのアルバムではなく、心で感じることの出来る愛すべきアルバムです。
その一曲、一曲に込められた桑江さんの心が、余韻となっていつまでも残るような、そんなアルバムです。このアルバムを通して、あなたの本当の故郷を見つけて欲しい・・・。

「月詠み間」は誰もが感じることの出来る、忘れてはならない「子守唄」なのです。
(木下詩野)


桑江知子 本人による曲解説

1. 月詠み間(ちちゆみま)     
 作詩:佐原一哉 作曲:沢田穣治
昨年あるコンサートで古謝美佐子さんが「月詠み間」を唄っているのを
聞いて以来、気に入ってライブでも唄っていました。
レコーディングでは作曲者の沢田さんも大活躍。
なんと沢田さん即興でピアノまで弾いてくれちゃいました!

2. 沖縄ミ・アモール
 作詩/作曲:アルベルト城間
ディアマンティスのライブに行くとこの曲でいつも盛り上がってしまいます。
レコーディングにはアルベルトさんもコーラスで参加、オリジナルとは雰囲気が変わりましたが、
リゾートっぽい仕上がりで気に入っています。

3. 悲しくてやりきれない
 作詩:サトウハチロー 作曲:加藤和彦
昔からメロディーラインが沖縄的だと感じていて、いつか唄いたいと思っていました。
バイオリンのフレーズがより哀愁を誘います。
思いっきり黄昏れたい時にオススメです!

4. 私のハートはストップモーション
 作詩:竜真知子 作曲:都倉俊一
サウンドプロデューサーの笹子さんの強力プッシュで今回のアルバムでセルフカバーすることに。
昔より力が抜けたストップモーションになってるかなー。

5. 恋島(くいじま)
 作詩/作曲:桑江知子
9月~10月、JTA(日本トランスオーシャン航空)の
機内曲に決定。

6. 恋の花    
 沖縄民謡
記念すべき三線デビュー!これが一番嬉しかったりして?


7. 月下美人    
 作詩:木下詩野 作曲:謝花義哲
桑江ライブではおなじみの曲。いろんなアレンジで唄ったけど、今回のアレンジ、はっきり言って、シビレます。
秋の夜長にどうぞ!

8. 時は過ぎるから    
 作詩/作曲:桑江知子
レコーディングに参加して下さったミュージシャン、スタッフ全員がコーラスで参加、
古謝さんは指笛でも参加してくれた楽しい一曲です。

9. 御縁花(ぐいんばな)    
 作詩:とりみとり 作曲:普久原恒勇
唯一、ギターとボーカルだけでレコーディング。
なぜか笹子さんとってもお気に入り?

10. 会いたいな    
 作詩:岡本おさみ 作曲:平安隆
この歌詞に出てくるストーリーは実話です。
沖縄へ遊びに行く人は多いですが、離島ではこんなラブストーリーも。

11. 風に風になりました    
 作詩:木下詩野 作曲:桑江知子
月下美人の作詩家=木下詩野さんとの共作。
桑江としては生まれ故郷沖縄に思いを馳せました。
告井延隆さんの二胡が旅をさせてくれます。

12. 童神~bonus track~    
 作詩:古謝美佐子 作曲:佐原一哉
録音最終日には大好きなみーこねーねー(古謝美佐子さん)が島酒・ワイン・ノニ(健康飲料)を差し入れ遊びに来てくれました。
合間にロビーで二人で唄った『童神』。
もったいなくて(?)ボーナストラックとさせていただく事に…。